経済学を使って公共政策と人の福祉を考える
経済システムは、人々の福祉(well-being)を高めるために存在します。そして、多くの経済システムにおいては、市場機構が資源配分を統治しています。しかし、市場機構がうまく機能するには、様々な条件が欠けることなく整っていなければなりません。それらの条件がひとつでも欠けていると、市場機構は期待された成果を上げられないのです。また、そもそも市場機構のできることは限られています。例えば、格差の問題は人々の福祉に関連しますが、市場機構にはそれを解決することはできません。
政府は市場を補完する制度です。公共経済学は、政府の活動と政策の経済的効果を主題にしています。なぜ経済学者たちは炭素税や排出権取引を導入することを勧めるのか。なぜ政府は学校教育に金銭的な支援をするのか。なぜ政府は医療保険制度を設けて人々を強制加入させるのか。自然破壊を伴う公共事業はいつ正当化されるのか。人々の間にある格差をどのように測りどこまで緩和すればよいのか。これらの様々な公共政策の背後にある論理(ろんり)と倫理(りんり)を学びます。