法学部で広がる未来の自分の可能性 第19回 ?憲法を使いこなす力を身につけよう!?
明けましておめでとうございます。今年も流通経済大学法学部の魅力を伝えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。さて、2025年の1回目の今回は、法学部生であれば全員が履修することになる「憲法」の授業について、前田先生にお話を伺うことができました。憲法については、高校でも学ぶこととされていますが、高校までの学習と大学での学習は何が違うのか、憲法を学ぶことでどのような力を身につけることができるのか、いろいろな視点からお話をお聞きしましたので、ぜひ最後までご覧ください。
——法学部に入ると最初に勉強する専門的な科目の一つに「憲法」があると聞きました。高校でも日本国憲法について勉強しましたが、何か違いがあるんでしょうか?
前田:そうですね。確かに、高校でも「公共」や「政治?経済」で日本国憲法について勉強しますね。高校でも結構詳しい内容を勉強するのですが、ひとつ大きな違いがあるとすれば、それは「憲法の使い方」を学ぶという点に求められると思います。
——「憲法を使う」?どういうことでしょうか?
前田:そもそも、法学部で学ぶ「法」って何のためにあるか、わかりますか?
——うーん、裁判は法に基づいて行われるって聞いたことがあるので、裁判をするため?
前田:確かに法にとって裁判は重要な場面ですね。でも、裁判だけでなく、もう少し社会全体を眺めながら考えると、法というのは、もめごとを防ぐため、そして、もめごとを解決するためという重要な役割を担っているんですよ。
——そうか、裁判って結局もめごとを解決するためにやっているわけだし、ルールに従うことで余計なもめごとを起こさずに済ませることもできますよね。
前田:そうそう。法にはそれ以外にも役割があって、いろんな人達が集まる社会において、そもそもそうした法をどのように作っていけばいいのか、とか、国を運営し、さまざまなサービスを提供するために必要な税金をどのように集め、それをどのように使うのかをどのように決めていくべきなのか、についての仕組みを定めるために作られる法もあるんです。
——ということは、日本国憲法は、まさに今先生が言われた「そもそも法をどのようにして作るのか」とか、「税金をどのように使うのか」ということに関係する法だってことですか?
前田:鋭い!まさに、日本国憲法は、日本国という国家を運営するための基本的な仕組みを定めているわけです。国会が法律を作り、内閣がそれに基づいて行政を指揮し、裁判所が裁判を行い、各市町村や都道府県が地方独自の行政サービスを展開する、というのは、日本国憲法に基づいたものなんですよね。
——でも、「憲法を使う」って、国会議員や大臣や、裁判所に関係する人達だけの問題で、私たちには関係なさそうな気がするんですが…
前田:実はそうとも言えません。二つ重要なポイントがあります。
——重要なポイント?
前田:一つは、そもそも憲法に従って国会や内閣、裁判所といった国の組織が正しく運営されているか、私たちには知る責任があります。これ、日本国憲法の基本原理の一つと深く関わり合っているのですが、わかりますか?
——あ、国民主権!
前田:そうです。国の政治の最終的な決定権者は国民だって考え方ですね。私たちは、国の政治が憲法に沿ってきちんと行われているかを知り、それを踏まえて選挙に参加する必要があります。これは立派に「憲法を使う」ことです。
——そうか、選挙で投票する候補者や政党を決めるときのポイントにもなるわけですね。で、もう一つの重要なポイントって何ですか?
前田:基本的人権です。日本国憲法は、民主的な社会と政治のあり方を確保するために各種の基本的人権を保障しています。国の政治が果たしてこうした基本的人権をきちんと守り、よりよく保障するものとなっているかをチェックする目を養うこと。具体的には法律やそれに基づく役所の活動が、基本的人権をきちんと守るようなものとなっているかを判断できるようになることが、「憲法を使う」ということだといえるでしょう。
——つまり、大学では「国の役所が基本的人権を保障するようにきちんと憲法に従った活動をしているか」を判断できるようにするために憲法を学ぶということですか?
前田:簡単に言うとそういうことですね。流通経済大学の法学部では、全部で6単位分の時間を使って、日本国憲法の定める国家運営と基本的人権保障の一番中核的なポイントを学びますが、それはつまるところ国家の活動が憲法に沿ったものかどうかを判定できるようになるための「ものの見方?考え方」を身につけるための学習だということになります。これは、法律の専門家にとってはもちろんのこと、国民主権原理を採用する日本国で暮らす全ての人々にとって必要な知恵だと思いますよ。
——なるほど。法学部で最初に憲法を勉強するのには、やっぱり理由があるんですね。
前田:そうなんです。もしよかったら、以前にも私が別の学生さんに憲法を勉強することでわかることについてお話ししたことが、大学のホームページに掲載されているので、ぜひそちらも読んでみてください。そして、憲法の授業でお会いできることを楽しみにしていますよ。